ドライバー目線で考える配送計画|属人化を防ぐ現場定着の工夫
/ ハコプロ編集部

配送計画とは何か ドライバー目線で捉え直す

配送計画という言葉は、配車担当者や経営者が使う業務用語として語られることが多くあります。しかし実際に荷物を積み、道を走り、荷降ろしをして帰ってくるのはドライバーです。計画の良し悪しを最終的に体で受け止める立場から見ると、配送計画は単なるルート表や時刻表ではなく、その日の労働時間や休憩の取り方、体力の残り方まで左右する生活の設計図に近いものといえます。
この記事では、配送計画をドライバーの視点から捉え直し、なぜ現場でうまく機能しない計画が生まれてしまうのか、そしてどうすればドライバーにとっても運行しやすい計画に近づけられるのかを整理していきます。
配送計画と配車計画の違いをドライバー目線で整理する
配送計画と配車計画は似た言葉として扱われがちですが、視点を変えると役割の違いが見えてきます。配送計画は「どの荷物を、いつまでに、どの順番で届けるか」という物流全体の設計であり、配車計画はそれを実現するために「どの車両に、どのドライバーを割り当てるか」を決める人と車のマッチングです。
ドライバーからすると、配送計画で決まった順番やルートは前提条件として与えられ、配車計画でようやく自分の名前と車両が結びつきます。つまりドライバーは配送計画の結果を最も具体的な形で受け取る当事者でありながら、計画そのものを作る過程には関わっていないケースが少なくありません。ここに、現場と計画の間にずれが生まれる余地があります。
計画はドライバーのためのものという発想が抜け落ちやすい理由
配送計画は多くの場合、配送効率やコスト削減、納期遵守といった経営側の指標から逆算して作られます。もちろんこれらは事業の存続に直結する重要な指標であり、軽視してよいものではありません。ただし、その指標だけを追いかけて設計された計画は、休憩を取りにくい時間帯にルートを詰め込んでしまったり、道路状況を考慮せず机上の距離だけで所要時間を見積もってしまったりすることがあります。
結果として、計画表の上では成立していても、実際の運行では遅延や無理な運転を招く場合があります。配送計画の目的はあくまで荷物を安全かつ効率的に届けることであり、その担い手であるドライバーが無理なく走れることは、効率化と対立する条件ではなく、むしろ効率化を持続させるための前提条件です。
現場で配送計画がうまく回らない典型的な原因
配送計画が形骸化してしまう背景には、いくつかの共通したパターンがあります。ここではドライバーとの接点という観点から、特に起こりやすい三つの原因を見ていきます。
属人化した配車担当への依存
長年の経験を持つ配車担当者が、頭の中にある土地勘やドライバーごとの得意先との相性を頼りに計画を組んでいる運送会社は少なくありません。この方法は担当者本人にとっては効率的ですが、その人が休んだり退職したりした瞬間に、計画作成の質が一気に落ちてしまうという弱点を抱えています。
属人化した状態では、新しく入ったドライバーに対しても「なぜこの順番なのか」を説明する材料が乏しく、指示された通りに走ることしかできません。結果として、現場からの気づきが計画側にフィードバックされにくくなり、改善が進まないまま同じ非効率が繰り返されてしまいます。
荷物量や道路状況の変化を計画に反映できない
配送計画の多くは、過去の実績や標準的な所要時間をベースに組まれます。ところが実際の道路は工事や渋滞、天候によって日々変化しており、荷物量も季節や取引先の都合で増減します。こうした変化を計画作成の段階で織り込めていないと、ドライバーは現場でその場しのぎの判断を迫られ、計画通りに走れなかった責任を個人の努力不足として片づけられてしまうことがあります。
ドライバーの経験知が計画に活かされない
実際に走っているドライバーは、地図上の距離では見えない情報を数多く持っています。荷主先の駐車のしやすさ、時間帯による混雑、荷降ろしにかかる実際の時間などです。こうした経験知を計画作成のプロセスに取り込む仕組みがない会社では、同じ失敗が別のドライバーによって繰り返されやすくなります。現場の声を吸い上げる仕組みがあるかどうかは、配送計画の精度を左右する見えにくい分岐点です。
ドライバー起点で配送計画を作るための四つの視点

配送計画を経営指標だけでなく、ドライバーが実際に走ることを前提に組み立て直すには、いくつかの視点の転換が有効です。ここでは実務に落とし込みやすい四つの視点を紹介します。
現場の声を計画に反映する仕組みを作る
配送計画にドライバーの経験知を反映させるには、感想を聞くだけでなく、記録として残す仕組みが必要です。たとえば運行後に「想定より時間がかかった区間」や「駐車が難しかった納品先」を簡単に報告できる項目を用意し、次回以降の計画作成時に参照できるようにしておくと、計画は少しずつ現実に近づいていきます。
この仕組みは大がかりなシステムでなくても始められます。まずは紙のメモやチャットへの一言報告からでも、蓄積すれば立派な判断材料になります。
制約条件を最初にすべて洗い出す
効率だけを追った計画は、労働時間の上限や休憩の確保、車両ごとの積載可能量といった制約を後から無理やり当てはめようとして破綻しがちです。逆に、制約条件を最初に洗い出してから配送順を組み立てる方法は、あとから帳尻を合わせる手間が減り、ドライバーにとって現実的な計画になりやすくなります。
特に労働時間に関する制約は、法令遵守という観点だけでなく、ドライバーの安全運転にも直結します。制約を後回しにしないという順序の徹底が、結果的に計画全体の実現可能性を高めます。
計画と実績のズレを可視化して改善に回す
計画通りに走れたかどうかを振り返らないままでは、同じ無理のある計画が繰り返されます。到着予定時刻と実際の到着時刻、想定した所要時間と実際の所要時間を比較し、ズレが大きい区間や時間帯を特定することで、次の計画作成時に修正すべき箇所が見えてきます。
この振り返りは、ドライバー個人の運転を評価するためではなく、計画そのものの精度を高めるために行うという位置づけを明確にしておくことが大切です。目的があいまいなまま数字だけを追うと、現場の協力を得にくくなってしまいます。
新人でも再現できる基準を残す
経験豊富なドライバーや配車担当者の判断は貴重ですが、それが言語化されずに個人の頭の中にとどまっている限り、会社の資産にはなりません。優先順位の付け方や判断の基準を簡単な文章やチェック項目として残しておくと、新人でも一定水準の計画を作成、あるいは運行できるようになります。これは属人化を防ぐだけでなく、急な欠員やドライバー不足が続く時代において、事業の継続性を支える備えにもなります。
配送計画システムを導入して変わること・注意すべきこと
近年は配送計画や配車計画を支援するシステムを導入する運送会社が増えています。ドライバー目線での計画作りを仕組み化する手段として有効な一方、導入すれば自動的にすべてが解決するわけではありません。
システム化によって得られる変化
配送計画システムの多くは、住所や道路情報をもとにルートを自動で算出し、複数の制約条件を同時に考慮できる点が強みです。人手で行えば数時間かかっていた計画作成が数十分に短縮されるケースもあり、担当者の負担軽減だけでなく、属人化の解消にもつながります。
また、計画内容をドライバーのスマートフォンなどにそのまま共有できる仕組みを備えたシステムであれば、口頭指示や紙の配車表よりも正確に情報が伝わり、確認の手間も減ります。走行実績データが蓄積されていくため、前述したような計画と実績のズレの可視化も行いやすくなります。
導入時に見落とされがちな注意点
一方で、システムが算出する計画はあくまで入力されたデータの精度に依存します。荷物情報や車両情報、制約条件の入力が不正確であれば、どれほど高性能なシステムでも実態に合わない計画を出してしまいます。
加えて、現場のドライバーや配車担当者が新しい操作に慣れるまでの教育期間も必要です。導入直後は一時的に業務負荷が増えることも珍しくないため、何のために導入するのかという目的を社内で共有し、クラウド型かインストール型かといった提供形態も含めて自社の運用に合うものを選ぶ姿勢が求められます。
2024年問題とドライバー不足時代の配送計画

ドライバー目線での配送計画がこれまで以上に重要になっている背景には、運送業界特有の構造的な課題があります。ここでは労働時間規制と人手不足という二つの側面から見ていきます。
労働時間規制が配送計画に与える影響
トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられたことで、一人のドライバーが担える走行距離や拘束時間には以前より明確な線引きがなされるようになりました。この変化は、これまで長時間労働を前提に組まれていた配送計画が、そのままでは成立しにくくなったことを意味します。
限られた時間の中でどの荷物をどの順番で届けるかを考えるには、精度の高い所要時間の見積もりと、休憩を含めた現実的なスケジューリングが欠かせません。規制への対応は、単なるコンプライアンスの問題ではなく、配送計画そのものの組み立て方を見直す契機になっています。
人手不足下では計画の精度が経営を左右する
運送業界ではドライバーの高齢化と人手不足が長年の課題として指摘されてきました。新たな人材を採用しにくい状況では、今いるドライバーに無理なく長く働き続けてもらうことが、事業を維持するうえでの現実的な選択肢になります。
無理のある配送計画は、遅延やクレームといった直接的な問題だけでなく、ドライバーの疲弊や離職という形で会社に跳ね返ってきます。逆にいえば、ドライバーが走りやすい計画を作れる会社は、採用が難しい時代においても人材の定着という点で優位に立てる可能性があります。配送計画の質は、もはや現場だけの問題ではなく、経営そのものに関わるテーマになっています。
運送会社がドライバー目線の配送計画を実現するために

配送計画の精度を高める取り組みは、システムの導入や社内の運用改善だけでなく、運送会社が置かれているビジネスの構造にも目を向ける必要があります。特に多重下請けの構造は、計画の自由度そのものを狭めてしまう要因になり得ます。
荷主との直接契約が計画の自由度を左右する
運送業界では二次請け、三次請けはもとより、五次、六次といった請負の階層が常態化している現場が少なくありません。下請けの立場が深くなるほど、荷物の受け渡し条件や納期の融通が利きにくくなり、自社の裁量で配送計画を組める余地は狭まっていきます。
荷主と直接契約を結ぶことができれば、条件交渉の余地が広がり、ドライバーの労働環境に配慮した計画を組みやすくなります。中間マージンが減ることで運賃面の改善につながる可能性もあり、配送計画の質を高めたいと考える運送会社にとって、荷主との関係の築き方は避けて通れないテーマです。
ハコプロが担う役割
こうした背景から生まれたのが、運送会社と荷主企業の直接契約を後押しするマッチングサービス「ハコプロ」です。掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件にのぼり、全国47都道府県に対応しています。運送会社側は登録料や使用料が一切かからず、情報の更新も回数の制限なく行えます。
ハコプロならではの特徴が「ドライバー名鑑」です。ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを掲載できる機能で、多重下請けが常態化する業界において「誰が荷物を運ぶのか」を荷主企業に伝える手段になります。実際に北海道の荷主企業が、ハコプロを通じて釧路市の運送会社とマッチングし、農協への肥料輸送という新たな取引につながった事例も生まれています。
ドライバーが無理なく走れる配送計画を実現するためには、現場の運用改善だけでなく、荷主との関係を見直す動きも合わせて進めていくことが有効です。自社の配送計画やドライバーの働き方に課題を感じている運送会社は、ハコブログを運営するハコプロへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。