ドライバー不足はなぜ止まらないのか|構造的原因と現場の打ち手

/ ハコプロ編集部

ドライバー不足はなぜ止まらないのか|構造的原因と現場の打ち手

求人票を出しても応募が来ない、面接まで進んでも入社に至らない。運送会社の採用担当者からは、こうした声が何年も途切れることなく聞こえてきます。厚生労働省の「一般職業紹介状況」(令和7年5月分)によれば、自動車運転従事者の有効求人倍率は全産業平均の1.24倍を大きく上回る水準で推移しており、人手を求める企業の数に対して働き手が明らかに足りていない状態が続いています。

ただし「ドライバー不足」という一語だけでは、なぜこの状況が生まれたのかまでは見えてきません。原因は一つではなく、法制度の変化、賃金や労働時間の構造、年齢構成の偏り、業界特有の商慣行という複数の要因が重なり合って今の状況をつくっています。ここでは要因を一つずつ確認したうえで、荷主企業や運送会社が現実的に打てる手立てまで整理していきます。

なぜ今、ドライバー不足がここまで注目されているのか

なぜ今、ドライバー不足がここまで注目されているのか

ドライバー不足そのものは以前から指摘されてきた課題ですが、ここ数年で一気に注目度が高まった直接のきっかけは、いわゆる「2024年問題」です。まずは制度面の変化から確認していきましょう。

働き方改革関連法でトラックドライバーにも残業時間の上限が生まれた

2019年4月から段階的に施行されてきた働き方改革関連法は、運送業については適用まで5年間の猶予が設けられていました。全日本トラック協会の資料によると、その猶予期間が終わり、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働は年960時間(月平均80時間程度)を上限とする規制が適用されています。

長時間労働を前提に成り立ってきた輸送体制からすれば、この上限は決して緩い数字ではありません。1人あたりが運べる距離や件数に天井が生まれた以上、同じ荷物量を運ぶには、より多くの人手か、より効率的な輸送の仕組みが必要になります。

対策を講じなければ輸送能力の3割超が不足するという試算

NX総合研究所の試算によると、具体的な対策を講じなかった場合、営業用トラックの輸送能力は2024年時点で14.2%、2030年には34.1%不足する可能性があるとされています。全日本トラック協会も同様の危機感を発信しており、業界団体レベルで「このままでは運べなくなる」という警鐘が鳴らされている状況です。

この試算が意味するのは、単に人手が足りないという話にとどまりません。荷主企業にとっては、これまで当たり前に頼めていた輸送そのものが、いずれ頼める先が見つからないという事態になりかねないという警告でもあります。

賃金と労働時間、入り口が狭くなる構造的な理由

賃金と労働時間、入り口が狭くなる構造的な理由

制度変更だけがドライバー不足の原因ではありません。長年にわたって積み重なってきた賃金と労働時間の構造も、新しい担い手が入ってきにくい状況を生み出しています。

労働時間は長く、年収は低いという不均衡

公表資料によれば、トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均より17%程度(年間396〜444時間、月あたり33〜37時間ほど)長い一方、年間所得額は全産業平均より4〜12%程度(年20万〜59万円ほど)低い水準にとどまっています。平均以上に働いていながら、受け取る対価は平均を下回るという逆転現象が起きているわけです。

就職や転職を考える人にとって、労働時間と収入のバランスは職業選択の重要な判断材料になります。運送業がこの比較で不利な立場に置かれてきたことが、若い世代がこの仕事を選びにくくなっている一因といえるでしょう。

数字で見る、運送業と全産業の差

比較項目トラックドライバー全産業平均
年間労働時間の差17%程度長い(年396〜444時間)基準
年間所得の差4〜12%程度低い(年20万〜59万円)基準
15〜29歳の割合10.1%16.6%
40〜54歳の割合45.2%34.7%

有効求人倍率の高さも、需給の逼迫ぶりを裏づけています。自動車運転従事者の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る水準で推移しており、求人を出す側が選ばれる立場になっているのが実情です。

高齢化と担い手交代のタイムリミット

高齢化と担い手交代のタイムリミット

年齢構成の偏りも、ドライバー不足を語るうえで欠かせない視点です。今のうちに手を打たなければ、数年後にはより深刻な担い手不足に直面する可能性があります。

中高年層に偏った年齢構成

国土交通省がまとめた「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、トラックドライバーのうち40〜54歳の中年層が45.2%を占める一方、15〜29歳の若年層はわずか10.1%にとどまっています。全産業平均では若年層が16.6%であることと比べると、運送業の年齢構成がいかに中高年に偏っているかが分かります。65歳以上の割合も9.5%に達しており、大型トラックの運転手に限れば平均年齢は50歳を超えているとする調査結果もあります。

大型免許のハードルと定着の難しさ

大型・中型トラックの運転には専用免許の取得が必要で、費用と時間のかかる教習を経なければなりません。若年層の免許取得率そのものが下がっているなかで、こうした追加のハードルは新規参入をさらに難しくしています。仮に入職できても、荷役作業の負荷や不規則な勤務時間になじめず早期に離職してしまうケースも少なくなく、採用してもすぐには定着しないという状態が続いています。

多重下請け構造がドライバー不足を助長する仕組み

多重下請け構造がドライバー不足を助長する仕組み

制度・賃金・年齢構成に加えて、業界特有の商慣行もドライバー不足を根深いものにしています。

中間マージンが運賃と待遇を圧迫する

運送業界では、荷主から仕事を受けた元請けが下請けへ、さらに孫請けへと業務を再委託する多重下請け構造が常態化しており、2次請け、3次請けはもとより5次・6次請けまで珍しくないといわれています。委託が一段挟まるたびに中間マージンが差し引かれるため、実際に荷物を運ぶ会社に渡る運賃は目減りしていきます。運賃が圧迫されれば、その先で働くドライバーの給与や労働環境の改善にも十分な原資が回りにくくなります。

「誰が運ぶか」が見えないことの弊害

多重下請けが進むと、荷主企業からは実際に荷物を運んでいる会社やドライバーの顔が見えなくなります。荷主にとっては品質管理や緊急時の連絡体制が不透明になり、運送会社にとっては下請けの立場から抜け出しにくく、適正な運賃交渉の機会も得にくくなるという、双方にとって望ましくない状態が続いてしまいます。

荷主・運送会社が今から取り組める現実的な対応

荷主・運送会社が今から取り組める現実的な対応

ここまで確認してきた原因は、どれも一朝一夕に解消できるものではありません。ただし、荷主企業や運送会社の立場でできることが何もないわけではありません。

直接契約による運賃と待遇の適正化

多重下請けの層を減らし、荷主企業と運送会社が直接契約を結ぶことができれば、中間マージンで目減りしていた分を運賃や従業員の待遇改善に振り向けやすくなります。運送会社にとっては下請けの立場から一次請けへ近づく機会になり、荷主企業にとっては輸送品質や連絡体制を直接把握できるという利点も生まれます。

ドライバーの「見える化」で信頼をつくる

誰が荷物を運んでいるのかを可視化する取り組みも、有効な手段の一つです。ドライバーの経歴や仕事にかける思いを発信することは、荷主企業に安心感を与えるだけでなく、働く側にとっても自分の仕事が正当に評価されているという実感につながります。労働環境や取り組み姿勢を積極的に開示する会社ほど、荷主からも求職者からも選ばれやすくなっていくと考えられます。

ハコブログが運営する「ハコプロ」で、ドライバー不足時代の運送会社選びを

荷主から直接運送会社を探したい、あるいは下請け構造から抜け出して荷主と直接つながりたい場合、運送会社検索サイト「ハコプロ」が選択肢の一つになります。ハコプロは株式会社LIGOが運営するサービスで、2024年8月のリリース以降、掲載運送会社数は約6万件、営業所数は約8.5万件まで拡大しており、全国47都道府県の運送会社を対象にしています。

ハコプロならではの特徴が、ドライバーの年齢や社歴、運送にかける思いを掲載する「ドライバー名鑑」です。多重下請けが常態化している業界のなかで、誰が荷物を運ぶのかを知ることができる点は、荷主企業にとって大きな安心材料になります。取り組み内容に応じて認定される「ホワイト物流認定マーク」とあわせて、労働環境の改善に取り組む運送会社を可視化する仕組みも用意されています。

「ハコプロを通して、荷主から直で連絡をもらえたことが一番有難いんです。荷主との直接契約で一次請けになれば、交渉もできる」(北海道 みどり運輸 高村社長)

運送会社にとって、ハコプロへの掲載は登録料・使用料ともに無料で、情報の更新回数にも制限がありません。荷主企業を直接開拓したい会社や、ホワイト物流への取り組みをアピールしたい会社にとって、負担の少ない選択肢になるはずです。ドライバー不足の背景にある構造を理解したうえで自社に合った対応策を探している方は、ハコブログの運営元でもあるハコプロの情報を一度確認してみてください。

ハコプロとは?(運送会社向け)

お問い合わせはこちらから

関連記事