物流市場規模の推移と今後|伸びる分野と荷主が取るべき一手

/ ハコプロ編集部

物流市場規模の推移と今後|伸びる分野と荷主が取るべき一手

物流業界がどれくらいの規模の市場なのかは、調査機関や集計の切り口によって数字が異なるため、正確な全体像をつかみにくいテーマです。荷主企業にとっては配送コストの見通しに直結し、運送会社にとっては自社の立ち位置を測る指標にもなります。この記事では公的機関や調査会社が公表しているデータをもとに、物流市場規模の現在地と推移、今後の見通し、そして市場拡大の裏にある構造的な課題までを整理します。数字の裏側にある背景まで理解しておくことで、荷主企業がこれから配送パートナーを選ぶ際の判断材料としても役立つはずです。

物流市場全体の規模はどのくらいか

物流センターで稼働するトラックと倉庫

物流市場の規模は、集計の対象範囲によって公表される数字に幅があります。トラック運送だけを見るのか、倉庫や海運・空運まで含めた物流業種全体で見るのかによって、10兆円単位で結果が変わってくるためです。まずは代表的な2つの公表データから、市場規模の目安を確認していきます。

国土交通省調査による営業収入ベースの規模

国土交通省の調査では、物流業界全体の市場規模を営業収入ベースで28兆円から29兆円程度と推計しています。この数字にはトラック運送だけでなく、鉄道や海運、空運、倉庫といった貨物流通に関わる業種が幅広く含まれています。行政の公表資料であるため、業界の規模感を語るうえでの基準値として引用されることが多い数字です。

矢野経済研究所による物流15業種の市場規模

民間の調査会社である矢野経済研究所は、トラック運送や倉庫、貨物利用運送など物流に関わる15業種を対象に市場規模を毎年調査しています。同研究所の発表によると、2024年度の物流15業種総市場規模は前年度比5.1%増の24.6兆円になる見込みとされました。荷物の取扱量そのものが大きく伸びたわけではなく、運賃や料金の価格上昇が主な増加要因である点は、荷主企業にとって特に注視すべきポイントといえます。

セグメント別に見る物流市場の内訳

物流倉庫の荷物と輸送用パレット

物流市場は一枚岩ではなく、トラック運送、3PL、宅配・小口配送、倉庫・保管、国際物流といった複数のセグメントで構成されています。どのセグメントが市場のどれくらいを占め、どこが伸びているのかを把握しておくと、自社の物流戦略を考えるうえでの解像度が上がります。

トラック運送が支える物流市場

物流業界の中でも特に大きな存在感を持つのがトラック運送です。物流全体の営業収入のうち、トラック運送が占める割合は約6割にのぼるとされています。一方で、トラック運送業者の95%以上は中小企業が占めており、大手数社が業界全体を牽引しているわけではありません。地域に根ざした中小規模の運送会社が、日本の物流を支える屋台骨になっているのが実態です。

3PL・宅配・倉庫・国際物流の構成比

市場全体を約24兆円規模と見た場合のセグメント別の内訳を見ると、市場を構成する各分野の伸び率にも差が出ています。以下は、物流市場の主なセグメントとその規模・成長率の目安をまとめたものです。

セグメント市場規模の目安年間成長率の目安
3PL(物流委託)約8.2兆円約34%を占める主力分野
宅配・小口配送約3.5兆円年+9.1%前後
倉庫・保管約2.1兆円年+7.8%前後
国際物流約1.8兆円年+5.3%前後

宅配・小口配送や倉庫・保管の成長率が相対的に高いのは、後述するEC物流の拡大が大きく影響しています。荷主企業が配送体制を見直す際は、市場全体の数字だけでなく、自社の荷物がどのセグメントに属するのかを意識すると判断がしやすくなります。

物流市場規模の推移と今後の見通し

荷物を積んだトラックが並ぶ物流拠点

市場規模は毎年一定のペースで伸びているわけではなく、貨物量の増減や燃料費・人件費といったコスト要因によって変動します。ここでは、直近の推移と今後の見通しについて、公表されているデータをもとに整理します。

貨物量の伸び悩みと価格上昇による市場拡大

矢野経済研究所の分析では、貨物輸送量そのものを増やす要因は限られており、運賃や料金など価格の上昇が市場拡大の主な要因になっていると指摘されています。つまり、市場規模が数字の上で増加していても、実際に運ばれる荷物の量が同じペースで増えているとは限らないということです。荷主企業にとっては、輸送コストの上昇分を織り込んだ物流計画がこれまで以上に必要になってきます。

EC物流が牽引する新たな成長

市場全体としては横ばいに近い分野がある一方で、EC物流は明確な成長領域です。ネット通販の拡大に伴って個人宛の小口配送が増え、宅配市場や倉庫・保管市場の成長率を押し上げています。海外の調査会社であるMordor Intelligenceも、日本の貨物・物流市場が2026年時点で3,511億米ドル相当となり、年平均成長率3.88%で推移して2031年には4,191億5,000万米ドルに達するとの見通しを示しています。国内外の複数の調査結果を見比べても、EC関連物流が今後の成長を牽引するという方向性は一致しています。

市場拡大の裏にある構造的な課題

市場規模の数字だけを見ると物流業界は堅調に拡大しているように映りますが、その裏側には人材不足や取引構造の歪みといった構造的な課題が存在しています。この課題を理解しておくことが、これから物流を利用する側にとっても重要な視点になります。

ドライバー不足と2024年問題

物流業界では従事者の高齢化が進んでおり、現在もドライバーの半数近くが50歳以上を占めているとされています。加えて、時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる2024年問題によって、ドライバー一人あたりが運べる荷物の量にも制約がかかるようになりました。各種試算では、対策が進まない場合、2030年には約25万人、2040年には約100万人規模のドライバー不足に陥る可能性が指摘されています。輸送能力そのものが不足していく局面に入りつつあるといえるでしょう。

多重下請け構造と中間マージン

物流業界のもう一つの課題が、荷主から運送会社に至るまでの間に複数の下請け業者が入る多重下請け構造です。5次請け、6次請けといった取引が常態化している現場も少なくなく、中間マージンが積み重なることで、実際に荷物を運ぶ現場のドライバーや運送会社の利益が圧迫されやすい構造になっています。以下のような課題が、業界全体の収益構造をゆがめる要因として挙げられます。

  • 下請けの階層が増えるほど、実運送会社に残る運賃が目減りする
  • 荷主から見て、実際に荷物を運んでいる運送会社の実態が見えにくい
  • 適正な運賃交渉がしづらく、労働環境の改善が後回しになりやすい

市場規模が拡大していても、こうした構造的な課題が解消されない限り、現場の運送会社やドライバーにとって働きやすい環境が自動的に整うわけではありません。

荷主企業が市場動向を踏まえて取るべき視点

物流市場の規模や課題を踏まえたうえで、荷主企業としては単に運賃の安さだけで配送パートナーを選ぶのではなく、市場構造そのものを理解した選び方が求められるようになっています。ここでは、実務に落とし込む際の視点を整理します。

運送会社の実態を可視化して選ぶという発想

多重下請け構造が常態化している業界だからこそ、実際に自社の荷物を運んでいるのがどのような運送会社で、どのようなドライバーなのかを把握できるかどうかは、配送品質の安定に直結します。運送会社検索サービス「ハコプロ」は、掲載運送会社数約6万件、営業所数約8.5万件という国内最大級のデータベースを持ち、荷主企業がエリアや車両形状、輸送品目といった条件で運送会社を検索・比較できるサービスです。ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを紹介する「ドライバー名鑑」機能もあり、誰が荷物を運ぶのかを事前に確認したい荷主企業にとって、実態を可視化する手段のひとつになります。

直接契約による適正なコスト構造への転換

ハコプロでは、荷主企業が検索・比較した運送会社に直接問い合わせ、必要に応じて運営元の営業担当が仲介したうえで直接契約に至る流れを取っています。中間業者を挟まずに運送会社と直接つながることで、多重下請けによる中間マージンを抑え、双方にとって適正な運賃での取引がしやすくなります。運送会社側は掲載料・登録料が完全無料で、情報更新も回数制限なく行えるため、中小規模の運送会社でも自社の強みを発信しやすい設計になっている点も特徴です。

物流市場の動向を踏まえて配送パートナーを見直すなら

物流市場は数字としては拡大が続く一方で、ドライバー不足や多重下請け構造といった課題を抱えており、荷主企業と運送会社の双方にとって、これまでの取引のあり方を見直す時期に来ているといえます。市場動向を正しく理解したうえで、配送コストと品質のバランスが取れたパートナー選びを進めることが、今後の物流戦略において重要になってきます。

運送会社の実態を可視化し、直接契約による適正な取引を進めたいという方は、運送会社検索サービス「ハコプロ」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:

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