輸送費の推移と値上がりの背景|今後の見通しと物流コスト対策

/ ハコプロ編集部

輸送費の推移と値上がりの背景|今後の見通しと物流コスト対策

輸送費はここ数年、右肩上がりの推移をたどっています。原材料費の高騰が話題になりがちですが、実は物流コストの上昇率も決して小さくありません。燃料価格の変動、ドライバー不足、そして2024年に本格化した労働時間規制の影響が複合的に重なり、荷主企業にとって輸送費は経営を圧迫する要因のひとつになっています。この記事では、輸送費が推移してきた背景を国内・海上の両面から整理し、今後の見通しと企業が取れる対策について解説します。

輸送費とは何を指すのか

輸送費の推移を正しく読み解くには、まず輸送費がどのような費目で構成されているのかを把握しておく必要があります。単に運送会社へ支払う運賃だけを指すわけではなく、複数の要素が積み上がって最終的な金額が決まっています。

輸送費に含まれる主な費目

輸送費には、車両の燃料費や高速道路料金といった直接的な運行コストのほか、ドライバーの人件費、車両の維持管理費、保険料、そして荷役作業にかかる費用などが含まれます。近年は荷役の対価を運賃とは別に加算する動きも進んでおり、費目ごとの内訳がより明確になってきています。

荷主が支払う運賃と実際のコスト構造の違い

荷主企業が実際に支払う運賃と、運送会社側のコスト構造は必ずしも一致しません。特に多重下請け構造のもとでは、荷主が支払った運賃の一部が仲介手数料として中間業者に渡り、実際に荷物を運ぶ運送会社の手元に残る金額が目減りするケースがあります。

この構造を理解しておくと、輸送費の推移を単なる数字の変化としてでなく、業界構造の変化として捉えられるようになります。

輸送費が上昇している主な要因

輸送費の推移をグラフで見ると、ここ数年は上昇基調が続いていることがわかります。その背景には、単一の要因ではなく複数の構造的な問題が絡み合っています。

燃料価格の変動と原油市況

軽油や重油の価格は原油相場や為替の影響を受けやすく、燃料費は輸送費の中でも変動幅の大きい費目です。燃料価格が上昇すれば運送会社の収益は圧迫され、それが運賃への転嫁という形で荷主側の輸送費に跳ね返ってきます。

ドライバー不足と2024年問題

2024年4月から、自動車運送事業者に適用される時間外労働の上限規制が施行されました。年間の時間外労働に上限(年960時間)が設けられたことで、一人当たりの走行距離や運べる荷物量が減少し、対策を講じなければ2024年時点で輸送能力の14%程度、2030年には34%程度が不足する可能性があると指摘されています。これがいわゆる「2024年問題」であり、輸送費の推移に大きな影響を与えている要因のひとつです。

国土交通省はこの状況を受けて、2024年3月に「標準的な運賃」を改定し、運賃水準を8%引き上げるとともに荷役の対価などを新たに加算する制度を告示しました(国土交通省 報道発表資料)。

多重下請け構造による中間マージン

運送業界では、荷主から直接仕事を受注する一次請けだけでなく、二次請け、三次請け、さらには五次請け・六次請けまで下請けが連なる構造が常態化しているといわれています。中間に入る業者が増えるほど、実際に荷物を運ぶ運送会社に渡る運賃は目減りし、ドライバーの待遇改善が進みにくくなります。

この構造がドライバー不足を長期化させ、結果として輸送費全体の上昇圧力にもつながっています。

国内輸送費の推移を統計で見る

国内の輸送費がどのように推移してきたのかは、国が公表する制度や統計からもうかがえます。特に「標準的な運賃」制度は、業界全体の運賃水準を示す指標として参考になります。

標準的な運賃の改定に見る運賃水準の上昇

標準的な運賃は2020年に初めて告示されて以降、荷主と運送会社が適正な運賃について話し合うための目安として活用されてきました。2024年の改定では運賃水準が8%引き上げられ、さらに荷役や附帯作業の対価を別建てで請求できるよう見直されています(全日本トラック協会)。

制度自体に法的な強制力はありませんが、運賃交渉の場でこの数値が引用される機会は増えており、実勢運賃を押し上げる方向に作用していると見られます。

路線便運賃・人件費の推移

路線便の運賃やドライバーの人件費についても、上昇傾向が続いています。ドライバーの有効求人倍率は他の職種と比べて高い水準で推移しており、人材確保のために賃金を引き上げる運送会社が増えていることが、運賃上昇の一因になっています。

荷主企業の間では、こうした人件費の上昇分をどこまで運賃に反映すべきかという価格転嫁の議論が続いており、原材料費の上昇に比べると物流コストの価格転嫁は進みにくいという指摘もあります。

海上輸送費・コンテナ運賃の推移

国内輸送だけでなく、海上輸送のコストも輸送費全体の推移に影響を与えています。特に輸出入を伴う荷主企業にとって、コンテナ運賃の動向は無視できない要素です。

上海コンテナ運賃指数に見る国際運賃の変動

上海発のコンテナ輸送スポット運賃を示す上海コンテナ運賃指数は、世界的な物流動向を映す指標として広く参照されています。2020年代前半には、新型コロナウイルスの流行に伴う物流混乱で運賃が急騰し、その後は落ち着きを取り戻す局面もありました。

直近では、中東情勢の緊迫化によるスエズ運河ルートの混乱や、パナマ運河の運営体制の変化、各国の関税政策の見直しなどが運賃を再び押し上げる要因として意識されています(コンテナ船運賃指数の推移データ)。

海運市況が国内物流コストに波及する仕組み

海上運賃が上昇すると、輸入原材料や部品の調達コストが上がるだけでなく、港湾から国内の物流拠点までの内陸輸送費にも影響が及びます。コンテナの滞留や船便の遅延が発生すれば、荷主企業は納期を守るために追加の輸送手段を手配せざるを得なくなり、結果として輸送費全体を押し上げる要因になります。

海上運賃の推移を定期的に確認しておくことは、国内の輸送費を見通すうえでも役立ちます。

輸送費上昇が企業経営に与える影響

輸送費の推移は、荷主企業と運送会社の双方に異なる形で影響を及ぼします。それぞれの立場から見た課題を整理しましょう。

荷主企業のコスト管理への影響

荷主企業にとって、輸送費の上昇は原価の上昇に直結します。特に薄利多売型のビジネスモデルでは、輸送費の増加分を販売価格に転嫁しきれず、利益率が圧迫されるケースも見られます。

輸送費の推移を定期的に把握し、複数の運送会社から情報を集めて比較検討する体制を整えておくことが、コスト管理の観点では重要になります。

運送会社の収益構造への影響

運送会社にとっても、燃料費や人件費の上昇分を適正に運賃へ反映できなければ、経営は厳しさを増します。多重下請け構造の中で中間マージンを差し引かれる立場の運送会社ほど、この影響を強く受けやすいといえます。

荷主企業と直接契約を結び、中間マージンを介さずに適正な運賃を確保できるかどうかが、今後の運送会社の経営を左右する分かれ目になりつつあります。

今後の輸送費の見通し

輸送費の推移は今後どうなっていくのでしょうか。短期的な変動要因と、中長期的な構造要因の両面から見通しを整理します。

標準的な運賃の定着と価格転嫁の動き

標準的な運賃の改定によって運賃水準の目安が明確になったことで、今後は荷主企業との価格交渉の場でこの数値が参照される機会がさらに増えると考えられます。価格転嫁が段階的に進めば、運送会社の経営環境は改善に向かう可能性があります。

一方で荷主企業側から見れば、輸送費の高止まりが続く前提で予算を組む必要が出てくるでしょう。

貿易政策・海運市況による変動リスク

海上輸送費については、関税政策の変更や運河の運営体制の変化といった国際情勢の影響を受けやすく、短期間で運賃が大きく動く可能性があります。輸出入を伴う事業を行う企業は、国内の運賃動向だけでなく、海運市況の変化にも注意を払っておく必要があるでしょう。

輸送費の上昇に企業ができる対策

輸送費の推移に振り回されないためには、荷主企業側でも主体的にできる対策があります。

運送会社との直接契約で中間マージンを削減する

多重下請け構造による中間マージンを避けるには、荷主企業が運送会社と直接契約を結ぶことが有効な手段のひとつです。中間業者を介さないことで、運送会社側には適正な運賃が残りやすくなり、荷主企業側も輸送費の内訳を把握しやすくなります。

複数の運送会社を比較し適正価格を把握する

特定の運送会社に依存せず、複数の運送会社の情報を比較できる環境を整えておくことも、輸送費の推移に対応するうえで欠かせません。エリアや対応車両、実績などの条件で運送会社を検索・比較できるサービスを活用すれば、荷主企業は自社に合った運送パートナーを効率よく見つけやすくなります。

輸送費の推移を踏まえたパートナー選びはハコブログへ

輸送費の推移をふまえると、荷主企業にとっては信頼できる運送会社と直接つながり、中間マージンを抑えた形で適正な運賃を確保することが、今後ますます重要になっていきます。運送会社検索サイト「ハコプロ」が運営する「ハコブログ」では、物流業界の課題や運賃動向に関する情報を発信しながら、荷主企業と運送会社の直接契約を後押ししています。

ハコプロには全国の運送会社約6万件、営業所約8.5万件が登録されており、エリアや対応車両などの条件で検索し、気になる運送会社に直接問い合わせることができます。ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを紹介する「ドライバー名鑑」機能もあり、実際に荷物を運ぶ相手の顔が見えることは、輸送費の適正化だけでなく安心して任せられるパートナー選びにもつながります。

輸送費の推移や運送パートナーの選び方について気になる点があれば、ハコブログを通じてハコプロへご相談ください。

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