ラストマイル物流とは何か|課題の背景と解決に向けた取り組み
/ ハコプロ編集部

ネット通販の利用が当たり前になった今、荷物が自宅や店舗に届くまでの最後の区間を指す「ラストマイル」という言葉を耳にする機会が増えました。物流業界においてこのラストマイルは、コストと人手が最も集中する部分であり、業界全体の構造的な課題が凝縮された領域でもあります。
この記事では、ラストマイル物流の基本的な意味から、現場で実際に起きている課題、行政や事業者が進める対策、そして運送会社と荷主がそれぞれどのような視点を持つべきかまでを整理して解説します。物流の現場に近い立場から、実務に役立つ考え方をお伝えします。
そもそもラストマイル物流とは何か

ラストマイルとは、物流の最終拠点から荷物を受け取る顧客の手元までを結ぶ、配送プロセスの最後の区間を指す用語です。「最後の1マイル」という距離の話ではなく、商品が消費者に届く直前の役割そのものを表す言葉として使われています。
ラストワンマイルとの呼び方の違い
物流業界では「ラストマイル」と「ラストワンマイル」がほぼ同じ意味で使われています。もともとは通信インフラの分野で使われていた言葉が、宅配便やEC物流の拡大とともに物流用語として定着した経緯があります。呼び方に厳密な使い分けはなく、どちらの表記も同じ最終配送区間を指すと考えて差し支えありません。
なぜラストマイルが物流全体のカギを握るのか
幹線輸送では大型トラックで大量の荷物をまとめて運べるため、1個あたりの輸送コストは比較的抑えられます。ところがラストマイルの区間では、荷物一つひとつを個別の住所へ届ける必要があり、車両一台あたりの積載効率がどうしても下がります。配送先が分散する住宅街や、時間指定の多い都市部ではこの傾向がより顕著です。物流全体のコストと労働時間のうち、大きな割合をこの最終区間が占めていると言われる理由はここにあります。
ラストマイル物流が抱える3つの課題

ラストマイル物流の課題は一つではなく、人手不足、業界構造、配送効率という三つの側面が絡み合って生じています。それぞれの背景を見ていきます。
ドライバー不足と2024年問題による輸送力の低下
運送業界では長年、ドライバーの高齢化と担い手不足が指摘されてきました。現在も従事者の半数が50歳以上を占めており、若手の入職が追いついていないのが実情です。2024年に施行されたドライバーの時間外労働規制も、輸送能力に直接影響する要因となりました。労働環境の改善という目的にかなう規制である一方、現場では稼働できる時間そのものが短くなり、同じ荷物量をこなすためにより多くの人手が必要になっています。
対策を講じなければ、2030年には約25万人、2040年には約100万人規模のドライバー不足に至るとの見方もあります。ラストマイルの担い手が減るということは、配送網そのものの維持が難しくなるという意味であり、荷主企業にとっても他人事ではありません。
多重下請け構造による中間マージンの圧迫
運送業界では、荷主から直接仕事を請ける一次請けの下に、二次、三次とさらに下請けが連なる多重下請け構造が根強く残っています。実際の現場では5次請け、6次請けまで連なるケースも珍しくありません。
この構造の問題点は、仲介の段階を経るたびに中間マージンが差し引かれ、実際に荷物を運ぶ運送会社に残る運賃が目減りしてしまうところにあります。誰が荷物を運んでいるのかが荷主から見えにくくなることも、多重下請け構造が抱える見過ごせない副作用です。運賃の適正化と労働環境の改善を進めるには、この構造そのものに向き合う必要があります。
再配達や都市部の交通事情によるコスト増加
不在による再配達も、ラストマイルのコストを押し上げる要因の一つです。一度で受け取ってもらえなかった荷物は、ドライバーが再び同じ住所へ足を運ぶことになり、その分の燃料費や人件費、時間が余計にかかります。都市部では駐停車スペースの確保や渋滞といった事情も加わり、一件あたりの配送に要する時間がさらに延びる傾向にあります。
行政や物流業界が進めるラストマイル問題への取り組み

ラストマイル問題は一企業の努力だけで解決できる規模の課題ではなく、行政と業界が並行して手を打っている段階にあります。ここでは代表的な取り組みの方向性を紹介します。
国土交通省の検討会が示す方向性
国土交通省では、ラストマイル配送の効率化に向けた検討会を継続的に開催しており、受け取り方法の多様化や物流の生産性向上に関する提言をまとめています。詳しい開催状況は国土交通省の公式ページで公開されており、業界の動向を把握するうえで参考になる情報源です。
受け取り方法の多様化と配送効率の見直し
宅配便業界では、コンビニエンスストアでの受け取りや宅配ボックス、置き配といった受け取り方法の選択肢を広げる取り組みが進んでいます。こうした施策の狙いは、再配達の発生そのものを減らし、ドライバー一人あたりの配送効率を底上げすることにあります。
- 宅配ボックスやコンビニ受け取りによる不在対応の削減
- 配送ルートの最適化による走行距離の圧縮
- 荷主と運送会社の直接契約による中間コストの適正化
いずれの施策も単独では大きな効果を生みにくいものですが、複数を組み合わせることで現場の負担を段階的に軽くしていける取り組みです。
運送会社と荷主がラストマイル問題に向き合うための視点

行政や大手事業者の取り組みだけでなく、現場に近い運送会社と荷主企業がそれぞれどのような視点を持つかによっても、ラストマイル問題への向き合い方は大きく変わります。
運送会社が見直すべきポイント
下請けの立場から抜け出すには、荷主と直接つながる接点を増やすことが欠かせません。営業活動に十分な人員を割けない中小規模の運送会社にとって、自社のホームページを整備したり検索対策に時間をかけたりするのは簡単ではないでしょう。
だからこそ、ドライバーの人柄や社歴、運送にかける想いといった情報を発信し、荷主に安心感を伝える工夫が重要になります。誰が荷物を運んでいるのかが見える運送会社は、価格だけでなく信頼を軸に選ばれる可能性が高まります。
荷主企業が直接契約を検討する意義
荷主企業の側から見ると、多重下請け構造は運送会社の実態が見えにくくなるという問題でもあります。中間業者を挟むほどコストは膨らみやすく、配送品質の管理も間接的にならざるを得ません。
運送会社と直接契約を結ぶことができれば、余分な中間マージンを抑えられるだけでなく、車両形状や輸送品目に応じた条件交渉もしやすくなります。ホワイト物流に取り組む姿勢のある運送会社を選ぶことは、荷主企業自身のコンプライアンス対応にもつながる視点です。
ラストマイル物流の課題解決はハコブログにご相談ください

ラストマイル問題は、ドライバー不足と多重下請け構造という二つの根深い要因が重なって生じています。この課題に現場から向き合う手段の一つが、運送業に特化した検索サイト「ハコプロ」です。
ハコプロは掲載運送会社数6万件、営業所数8.5万件のデータベースを持ち、荷主企業がエリアや車両形状、輸送品目から運送会社を検索し、直接問い合わせできるサービスです。ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを掲載する「ドライバー名鑑」機能により、誰が荷物を運ぶのかを可視化できる点が特徴です。運送会社は登録料や使用料が一切かからず、写真や紹介文の更新回数にも制限がありません。
下請け構造から抜け出したい運送会社にとっても、信頼できる配送パートナーを直接見つけたい荷主企業にとっても、まずは実際の掲載内容を見てみることをおすすめします。ラストマイル物流の課題を一緒に解消していく一歩として、お気軽にお問い合わせください。