運行指示書の保管期間は1年|起算日と管理体制の整え方まで

/ ハコプロ編集部

運行指示書の保管期間は1年|起算日と管理体制の整え方まで

長距離輸送のたびに作成している運行指示書は、作成して終われば済むものではありません。貨物自動車運送事業輸送安全規則により、運送事業者にはこの書類を一定期間保管する義務が課されており、期間内に廃棄してしまうと監査で指摘を受ける対象になります。

現場では「保管期間は1年らしい」というざっくりとした認識で運用されているケースも珍しくありません。しかし起算日の数え方や保管方法の細部を誤ると、期間を満たしているつもりでも実務上は不足していたという事態になりかねません。本記事では、運行指示書の保管期間の考え方から起算日、保管を怠った場合のリスク、関連書類との違いまでを順を追って整理します。

運行指示書とは何か 保管義務を理解する前提

運行指示書とは何か 保管義務を理解する前提

運行指示書は、運転者が対面で点呼を受けられない長距離運行の際に、運行の安全を確保する目的で作成する法定の帳票です。貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の3により、こうした運行を行うトラック運送事業者には運行指示書の作成が義務づけられています。まずはこの前提を押さえたうえで、保管期間の話に進みます。

運行指示書が必要になる場面

運行指示書の作成が必要になるのは、主に乗務開始と終了の地点が離れており、運行の途中で対面点呼ができない場合です。具体的には、乗務前・乗務後のいずれの点呼も対面で行えない日を含む長距離運行(2泊3日以上の運行など)や、途中で交替運転者を配置する運行などが該当します。日帰りで完結し対面点呼が可能な通常運行では、原則として作成の義務はありません。

ただし、対面点呼が可能かどうかの判断は営業所の点呼体制によっても変わります。IT点呼や電話点呼を導入している事業者では、対面によらない点呼が制度上認められる場合があり、その分だけ運行指示書が必要になる場面も変わってきます。自社の点呼運用と照らし合わせて判断することが欠かせません。

携行義務と保管義務は別のルール

運行指示書には、運転者が乗務中に携行する義務と、事業者が運行終了後に保管する義務の二つがあります。乗務中は運転者が正本を携行し、運行途中に指示内容の変更があれば携行している運行指示書にその都度書き加える必要があります。ここで注意したいのは、携行義務と保管義務は別々のルールであるという点です。

携行中の運行指示書を運行終了後にそのまま放置してしまい、結果として保管期間の起算があいまいになるケースは実務上よくあるパターンです。運行終了と同時に営業所へ回収し、保管の起点を明確にする運用ルールを社内で定めておくと、後述する起算日の管理がぐっとやりやすくなります。

運行指示書の保管期間は1年間

運行指示書の保管期間は1年間

結論から述べると、運行指示書の保管期間は、運行を終了した日から1年間です。運転日報や点呼記録簿など、運行管理に関わる他の主要書類の多くも同じく1年間の保管が求められており、運送業では「1年保管」を書類管理の基本単位として覚えておくと運用がぶれにくくなります。

保管期間の起算日はいつからか

保管期間の起算日は、運行指示書を作成した日ではなく、その運行指示書に基づく運行がすべて終了した日です。作成日と運行終了日がずれるケースは多く、たとえば運行前日に運行指示書を作成し、実際の運行が3日間続いた場合、起算日は作成日ではなく運行が完了した日になります。

ここで実務上つまずきやすいのが、途中で運行内容が変更されたケースです。運行指示書は乗務中に変更内容を書き加える運用が前提になっているため、変更後の運行がいつ終了したかを起算日として扱う必要があります。作成日ベースで機械的に1年後の廃棄日を決めてしまうと、実際の保管期間が不足する恐れがあるため、運行終了の実績日を台帳などで別途記録しておくと安全です。

紙保存と電子保存、それぞれの考え方

運行指示書の保管方法について、法令上は紙媒体に限定した規定はありません。監査などで求められた際に速やかに内容を確認できる状態であれば、スキャンしたデータをサーバーやクラウドストレージに保存する電子保存も選択肢になり得ます。とはいえ、電子データとして保存する場合は、改ざんされていないことや、必要なときにすぐ出力できることが前提になる点は意識しておく必要があります。

紙で保管する場合は、営業所ごとに保管場所がばらつきやすく、繁忙期には未回収のまま運転者の私物に紛れてしまうこともあります。一方で電子化を進めれば検索性は上がりますが、今度はスキャン作業自体が後回しにされ、結果として保管漏れが生じる会社も見られます。どちらの方式を選ぶにせよ、回収から保管までの流れを誰が・いつ行うかを明文化しておくことが、期間を守るための最も地道で確実な手段です。

保管期間を守らなかった場合に生じるリスク

保管期間を守らなかった場合に生じるリスク

運行指示書の保管期間を守れなかった場合、単に書類が足りないという以上の影響が生じます。運輸支局による監査では、運行指示書の作成・携行・保管の状況がまとめて確認される項目であり、保管不備は運行管理体制そのものの信頼性を疑われるきっかけになりやすいためです。

監査で指摘される典型パターン

監査の現場でよく見られるのは、運行指示書そのものは作成しているものの、保管の起算日を作成日で管理してしまい、実際には運行終了から1年に満たない時点で廃棄していたというパターンです。もう一つは、運転中の変更事項が記載された正本ではなく、変更前の下書き段階のものだけが保管されているケースです。

どちらも「作成はしていた」という点では義務を果たしているように見えるため、担当者自身が不備に気づきにくいのが厄介なところです。定期的に社内で保管状況を突き合わせる機会を設けておくと、こうした見落としを監査より前に発見できます。

未保管や不備が招く行政処分の重み

運行指示書の未作成や保管不備が確認された場合、運輸支局からの是正指導にとどまらず、違反の程度によっては行政処分の対象となることがあります。行政処分の内容は公表される場合もあり、荷主企業や協力会社との取引に影響が及ぶ可能性も否定できません。書類一枚の保管漏れが、事業全体の信用に波及しうるという感覚は持っておくべきでしょう。

また、事故が発生した際には運行指示書が事故原因の検証資料として扱われることもあります。保管期間内であるにもかかわらず該当の運行指示書が見つからないという状況は、事故対応そのものを遅らせるリスクにもつながります。

運行指示書とあわせて管理したい関連書類の保存期間

運行指示書とあわせて管理したい関連書類の保存期間

運行指示書は単独で扱う書類ではなく、運転日報や点呼記録簿など複数の運行管理関係書類とセットで保管を検討する必要があります。書類ごとに求められる保存期間は少しずつ異なるため、まとめて把握しておくと管理漏れを防ぎやすくなります。

運転日報や点呼記録簿の保存期間

運転日報や点呼記録簿についても、運行指示書と同じく1年間の保存が求められている代表的な書類です。以下は、運行管理に関わる主な書類と保存期間の目安を整理したものです。

書類名保存期間の目安起算のポイント
運行指示書1年間運行終了日から
運転日報1年間作成日から
点呼記録簿1年間記録日から
日常点検表1年間点検日から
乗務員台帳退職後3年間退職日から

乗務員台帳のように在職中は継続して保管し、退職後さらに一定期間の保存が求められる書類もあるため、書類の性質ごとに管理ルールを分けておくとよいでしょう。

書類ごとに保存期間が異なる理由

なぜ書類ごとに保存期間や起算の考え方が異なるのでしょうか。これは、それぞれの書類が果たしている役割の違いによるものです。運行指示書や運転日報は個々の運行の実績を示す書類である一方、乗務員台帳は運転者個人の在籍履歴を示す書類であり、確認が必要になるタイミングも異なります。

役割が違えば、監査や事故対応で書類が求められるタイミングも変わってきます。個々の運行に関する書類は直近1年程度で確認されることが多い一方、乗務員台帳は退職後のトラブル対応など、より長い期間を見据えて保存が求められています。この違いを理解しておくと、書類保管を一律のルールで済ませず、種類ごとに適切な運用を組み立てやすくなります。

書類保管を仕組み化して運用負担を減らす方法

書類保管を仕組み化して運用負担を減らす方法

保管期間や起算日のルールを正しく理解していても、日々の忙しさの中で属人的な運用になってしまうと、いずれ抜け漏れが生じます。ここでは、無理なく保管業務を仕組み化するための考え方を紹介します。

電子化で属人化を防ぐ

運行指示書の保管を特定の担当者の記憶や個人的な整理術に頼っている場合、その担当者が異動や退職をした瞬間に管理が崩れます。スキャンした運行指示書をクラウド上のフォルダで運行日ごとに整理し、保管期限が近づいたものを一覧で確認できる仕組みを用意しておくと、担当者が変わっても運用を引き継ぎやすくなります。

  • 運行終了当日中に営業所へ回収するルールを決める
  • 運行終了日をファイル名や台帳に必ず記載する
  • 保管期限を月次で棚卸しするタイミングを設ける

細かなルールに見えますが、こうした小さな仕組みの積み重ねが、監査当日になって慌てて書類を探す事態を防ぎます。

書類管理の透明性は荷主からの信頼にもつながる

運行指示書をはじめとする書類管理の丁寧さは、監査対策にとどまらず、荷主企業から見た信頼にも直結します。多重下請け構造が常態化している運送業界において、運行管理がきちんとしている会社かどうかは、荷主が取引先を選ぶ際の重要な判断材料になりつつあります。

こうした背景から、運行管理体制やドライバーの働き方を外部に示す取り組みは、これからの運送会社にとって営業活動の一部として位置づけられていくと考えられます。書類管理の仕組み化は地味な作業に見えますが、結果的には自社の信頼性を裏づける材料になっていくでしょう。

本記事の内容は、e-Gov法令検索で公開されている貨物自動車運送事業輸送安全規則の内容をもとに整理しています。実際の運用にあたっては、管轄の運輸支局への確認もあわせて行ってください。

運行指示書の管理に不安があればハコプロに相談を

運行指示書の保管ルールを整えることは、監査対応だけでなく、自社の運行管理体制を荷主に伝える材料にもなります。運送会社検索サイト「ハコプロ」は、掲載運送会社数約6万件、営業所数約8.5万件という規模を持つサービスで、運送会社は登録料・掲載料ともに完全無料で利用できます。

ハコプロ独自の「ドライバー名鑑」機能では、ドライバーの年齢や社歴、運送にかける想いを掲載でき、運行管理をしっかり行っている会社であることを荷主に向けて可視化できます。あわせて、取り組みに応じて認定される「ホワイト物流認定マーク」も用意されており、日々の書類管理を含めた地道な取り組みを、荷主との直接契約につなげる後押しになります。

運行指示書の保管体制づくりに不安がある方や、こうした取り組みを荷主に伝える手段を探している運送会社の方は、まずはハコプロの活用を検討してみてください。

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